別れ

前に5月10日は友達の送別会をやったと書いた気がする。

その友達は僕の親友と呼べる二人のうちの一人なのだが、彼とは6年間、さんざん笑わせてもらったし、いろんな熱い話もしたり、二人酔っ払って馬鹿なこともしたりした。お互いの良いところも悪いところも知っている。
そんな彼が先日実家に帰ることとなり、送別会をしたのだ。送別会自体に僕は遅刻していったので、彼と深い話をする事もなくその日は過ぎていった。

次の日、僕がいつものようにパソコンの前に座っていると、彼が来た。
彼は、「明日の朝帰る。」とだけ言い、握手を求めてきた。そして、彼は涙をこぼし、「ありがとう。」と呟いた。


「おいおい、24にもなって泣くことはないだろう。たかだか実家に帰るだけじゃないか。別に二度と会えなくなるわけじゃないし。また飲もうぜ。今年の夏にでもこっち帰ってきてさ。なんだったら、俺たちがおまえんところ行ってもいいし。だから泣くなって。」


なんてことは言えなかった。

何か一言声を発したら、こっちも泣いてしまいそうだったから。

何も言わない僕を見て彼も黙って椅子に座り、二人無言で煙草を吸った。

「じゃあ、行くわ。」そう言って彼は立ち上がってこっちを見た。見たと思う。僕はもう彼を見れなくなっていた。ただ、こくりと頷いた。

僕はまたパソコンに向かい、サイト巡回を始めた。彼を見送らずに。

部屋のドアの閉まる音を聞きながら、サイト巡回を続けた。まるで何事も無かったように。何事も無かったように振舞いつづけた。


どのサイトの日記も眼で追うだけでさっぱり頭に入ってこなかった。