二つ目
その店は、狭くて、ちょっと汚いし、値段もちょっと高かったけど
出てくる中華は最高においしかったし、店の親父さんも閉店が24時なのに、僕らが朝の3時ぐらいまで飲んでいても追い出された事なんて一度もなかった
そんな思い出の飲み屋さんが閉店してもう2年余り経った。
いつかまた再開してくれないかな、そんな思いはあったのだけれど。
今年の4月の頭からそのお店、もう誰も住んでない空家とその一帯の店をすべて潰す事になったのだろう、解体工事が始まった。
工事はあっという間に終わり、僕たちの思い出の場所はただのさらちになってしまった。
同じような事が何年か前にもあって、それは大学の集会場と呼ばれる宴会広場だったのだけれど。
ある日、久しぶりに学校へ来たらなくなっていて。
いろんな、いろんな思い出が詰まった場所もなくなってしまう事がこの土地に住み着いてから2度もあった。それだけ長く住んでいるのだろう。
もう7年も経つのだなぁ、出会った時はお互い18のガキンチョだったけれど、今年でもう25か、とさっき大学時代の友達と感慨深くメッセで語った。
そして今日、一人の友人がこの土地を後にする。盛大に祝ってやるつもりだ。
楽しい事も、悲しい事もたくさんあった。そしてそんな思い出が一杯詰まった場所も取り壊されるようになった。とにかくもう、いろんなことを僕はこの町で学び、体験した。
もう、第二の故郷と認定していいですよね、と僕は誰に問い掛けているわけでもないが、心の中で訊ねてみた。